第八章 イソップ物語
同じ職場で、仕事をする。そんな人生の目標は、意外にも早く達成できた。私にとって、サムさんはまるでアイドル。勉強でも、ライフスタイルでも彼女のようになりたいと思って頑張ってきた……そんな彼女と今日は同じベッドで、寝る。正直にいうと、サムさんの実際の生活は、私が知っていたのとはちょっと違っていた。雑誌のインタビューや、普段の服からは想像がつかない雰囲気。
サムさんは、派手な色が好きで、いつも最先端のファッションをしている。確かに、この家のデザインはモダンで、彼女のイメージと合っているけれど、インテリアの色は、ほとんどがアースカラー。全体的に落ち着いた暗めの色で、大半がグレー。派手なところもない。よく知られているイメージとは違っていて、シンプルなミニマリストって感じ。家の中に見つけた唯一の赤色は、化粧台に置いてある目立った色のリップスティックだけで、それ以外に、鮮やかな色のものはない。今、私が着ている、借りたパジャマでさえも。