第九章 悪友
オレンジの光に包まれながら、お互いに見つめあっていた。サムさんとの距離は十センチもない。心臓がいつもより速く、一六〇キロ以上のスピードで、加速しているような気がする。眩暈がしてきた。私に跨っているその人は、薄い茶色の瞳で私を長い間見つめてくる……なんだか真夏のアイスのように溶けちゃいそう。
「あんた、眠いの?」
「は……はい」
「めやにがついているわ」
「本当ですか!?」 恥ずかしくて、素早く自分の目を拭った。サムさんは立ち上がって、ベッドに戻り、私に背中を向けたまま、隣で寝始めようとした。
「何もついてないみたいです。あっ、サムさんの冗談ですか?」
「冗談なんかじゃない」
「冗談ですよね!?」
「意味が分からない。もう寝ましょう。おやすみなさい」