第十三章 提案
「エビ、エビ、エビ!」
目の前に、自分の腕くらいの大きな川エビがある。プクっと黄色に輝くエビ味噌のペーストも含めて、夢心地だった。香ばしく焼けた匂いで、エビの奴隷になっちゃいそう。
「そんなに嬉しいの?」サムさんは、まるでテレビのCMみたいに大袈裟な動きをしている私を眺めている。「なるほどね。私が約束を守らなかったってあんなに怒っていた理由が分かったわ」
「怒ってたって誰のことですか? 最初に「こらっ!めっ!』とか言い出したのは、サムさんです。でも、もういいんです。私、お腹がペコペコなので! うわぁ、美味しそう」
そう言って、エビを美味しく食べ始めた。正直、こんな高級なものを食べるチャンスはあまり無い。私は新卒で、まだ最初のお給料も貰っていないから。それに、お母さんもお金があまりない。だから、こんなものを食べられる機会はない。もしできるとしても、一キロで百バーツのエビを買うこと。それでも、私にとってはすごく豪華だ。
サムさんはそんな私を連れて、エビをご馳走してくれた。この恩は……母の日やお祝い事の時に花輪を作ってあげるみたいなことを、目の前の人にもやってあげなきゃね。それくらいしかできないから……うぅ。
「可愛くないのに、それにメロメロだね」
「綺麗じゃないって言ったら、それは綺麗って意味……ですよね」
「なんのこと?」