第十七章 小指
時が止まったかのように、ただ静けさだけが流れている。ケードさんは私とサムさんを交互に見てから、一旦口を閉じた……。
「二人はキスしてたの?」
「いや! ただ唇を噛んでいただけよ」サムさんは慌ててそう言った。でも、そんなの全然ケードさんの耳には入ってない。サムさんはその様子を見て続けた「勝手に変なこと、考えないでよ」
「ねぇ、なぜ、私がケードって名付けられたか分かる?」
「なんで?」
「私にもわかんない!!! きゃああああああ! もういい、みんなに伝えないと! みんなにこの話を教えないと! 冥王星に届くほど大事にするわ。ラララ、ケードが知ると世界が知るわ。きゃああ!!」
「ケ……ケードさん……」
捕まえようと手を出したけど、その姿はもう消えていた。サムさんは私の顔を見て、同じくどうしたらいいか分からないって、ただため息をついた。
「この世界に秘密はあり得ないってことだね」
「どうしましょうか……」