第十八章 気持ち
「説明しなさい」
「何をですか?」
「怒った理由を」
今日も、いつもと同じくサムさんの家にお泊まりしている。二人で人気の歌番組を見ていた。勝った人は何を貰うのか分かっていないけど、面白い。最近では、もう両親に許可の電話することも無くなった。言わなくても今日私が誰の家に泊まっているのかを、きっと分かっているから。それに、両親二人にとっても、娘が朝早く起きて仕事に行くとか、帰りが夜遅くになっちゃうとか、そんなことがなくて、より安心なんだと思う。
「怒ってなんていませんでした」口をへの字に曲げながら、そう言った。けど、そんな風に言い返すなんて、自分でも思ってなかった。「私はただ……」
「ただ……」
「ただ……」
「ただ……」自分に起きていたことをなんて言ったらいいか必死に考えていた。そしてため息をついた。「ただ、サムさんがジムさんの頬にキスをしたって知って、イライラしただけです。くだらないですね」
「うん。そうだね」
簡単に納得してしまうその人に、チラッと怒りの目線を向けた。こういう時は、サムさんが割り込んできて、それはくだらないことじゃないよって否定するところでしょう?
まぁ、本当にくだらない話なんだけど。
「なんとなく分かるから。あたしもそうなった」
「え?」