第十九章 カークさんとサムさん
私は頭が良くない。でも、ノップやお姉さん達の言葉の意味を理解してる。ただ……自分がそんな風にサムさんのことを好きだとは思っていないの。サムさんとは立場が違いすぎる。私が釣り合っていることは何もない。それに……サムさんにはカークさんという婚約者がいる。
まるで、ドラマ。こんな時代でも……婚約者がいるんだもん。
このことを思い出すと、いつも腹が立つ。仕方がないことだけどね。女と男が付き合うのが当然なんだから、この事実を受け入れなきゃ。
でも、サムさんは素敵すぎて、この世界で彼女に見合う人なんていない。あの甘い顔の人は、一人でいるべきよ。そして、私は今までと同じように、ずっと憧れているの。
そう……それでよかった。
最近、サムさんは「おバカなモイのゴシップルーム」のお姉さん達とよく出かけている。その理由は、ジムさんの結婚式がもうすぐだから。でもちょっとした騒動もあった。ジムさんが結婚したくないって言ってるみたい。サムさんが話していた感じだと、ジムさんがうつ病になりそうだって。それで、友達みんなで励ますためによく会いに行っているらしい。最近、私の美人なボスは、どこで何をしているのか、常に報告してくれる。だから、私も同じく伝えるようになった。
モン:今、ヤーさんと一緒に電話代を払っています。
ボス:早く家に帰ってね。早い者勝ちよ。
モン:勝ったら、何を貰えるんですか?