第二十三章 完璧
嫌……負けちゃダメ。
何を提案しても、胸の奥まで刺されるような痛い批判を突きつけられた。文句を言われる度に、受け入れられなくて戸惑っていた気持ちすら、今はもう感じない。仕事に絡んでいるから、あまりサムさんには話しかけられなかった。それに、顔色を変えないそのボスも、私に声を掛けたり、遊びでスタンプを送ったりしてこない。
どうやら、私が会社を辞めるようにサムさんからパワハラを受けているって、みんなが噂をしているらしい。どんなに仕事を頑張っても、いいアイデアを出しても、あの冷凍庫にいるレディ・ボスは認めてくれなくて、私にすごく同情しているって。
やっぱり……辞めるべきなのかな。
「こんなにも不安な気持ちで仕事をしなきゃいけない状況なら、会社を辞めた方がいいわ」
帰る時、一緒にオフィスを出たヤーさんは隣でそう言った。私ももう諦めたいような気持ちでため息をついた。
「そうですよね。このまま無理にいても、何も良くならないんじゃないかって思うこともあります。サムさんは虎に似ていますね。優しい時は驚くほど優しい人です。でも、悪い時が来ると、いつ私達を噛み付いて食べてしまうか分かりません」
「ここを辞めたら、次にどこで何をするか調べてみた?」