大好き
あたしとモンは、自分達のお付き合いを公表しないって決めている。それでも、何人かは知らないといけない。それは、モンを尊重するために、あたしが誠実さを見せることが必要だと思うから。どういうことかというと、つまりポーンおばさんに真実を伝えるってこと。
今、あたしとモン、ポーンおばさん、それからモンのお父さんが折り畳みの座卓で食事をしている。食事は家庭料理、でも「青い血の人は床で食べるべきじゃない」ってポーンおばさんは随分あたしに遠慮しているみたい。でも、その遠慮は新しい話題で一気に薄まったらしい。
「あたし達、付き合っています」
テーブルを囲む全員が静かになった。壁掛け時計がチクタクと針を刻む音、耳の近くを飛び回る蚊の羽音、全員の呼吸音が交わされているのを感じる。それくらいこの場が沈黙で満ちているから。
なんでこんなにも静かなの……何か言ってほしい。そうしたら、対処ができるから。
「うーん……」混乱して迷いながらモンのお父さんが最初に声を出した。「付き合っているっていうのは、恋人として付き合っている……ということで合っていますか?」