第四章
懲罰
蓮宮は、風格を感じさせるが、新しく造られた二階建ての宮殿である。屋根、そしてタイの伝統的な丸窓は、淡い黄色と翠玉色で彩られていて、それが美しいのはもちろん、その宮殿の主のような几帳面さを訴えかけてくる。
内装は棚や箪笥などの木材から構成された焦茶色で、荘厳さが伝わる。前翼の宮殿に住まわれる太子様の宮殿のように、一階の階段から屋根の頂上に至るまで、きめ細やかに装飾されている。
プァームが三人の少女を広い応接間に通したとき、帰りを待っていたパッタミカ王女はウィチットの紋様*が刻まれた長椅子に腰を落としていた。
背筋は垂直で、髪はたった一本でさえも乱れることなくきっちりと束ねられ、目に入る顔からはオーラが出ているかのように輝いて見える。しかし、そのお顔には少し目を凝らすと四十代後半を迎える方々に現れる、年齢に比例して顔を出す溝のような物も見える。その人物は郊外での葬儀があったため、闇を模したような黒いレースのドレスを身にまとっている。
ピンと少女プリックは素早くパッタミカ王女の前に身を伏せ、恐る恐る正座をした。その間、アニン王女は、パッタミカ王女の隣にある一人席用の椅子に腰をおろし、この大きな部屋のいる全員がの居るべき位置についた。
伝統や文化、礼儀を強く重んじるパッタミカ王女は、第一にアニン王女に頭を下げ、心の中で、こちらの御方がこのサウェタワリット宮の主である太子様の第一王女であられる、と敬いの念を届ける。しかし、その年齢の差は大きすぎるもので、パッタミカ王女の礼を受けたアニン王女は、年頃の女の子のように会釈を返した。
パッタミカ王女は冷たい笑みを浮かべ、レディ・ピンへと視線を移す。この姪っこはただ俯くだけで、叔母であるパッタミカと目を合わせようとはしなかった。
パッタミカ王女のその鋭い視線にお怒りのご様子はなくとも、ふと一瞬パッタミカ王女と目があってしまい、プリックは想像を超えるほどの恐れから体を震わせて、顔を膝にぶつけるほどの勢いでさらに頭を下げた。
「レディ・ピン」
ただ、自身のことを呼ばれただけだったが、その声は低く既に叱責が始まっているのだと、レディ・ピンの体中を恐怖がかけめぐった。
それ故、彼女の淡い色の唇が震えることを止めることはとても難しかった。
「はい」
「日も落ち、夜も遅いころ、なぜ叔母に一言も言わず、宮殿を抜け出し遊んでいたのかしら」