特別編
第二章 気弱な心……小さな心
第一話
今日の午後は特に蒸し暑さを感じる。そんな気候でありながらも、私とゴイは叔母様の為に蓮宮の露壇でプラムマンゴーの彫刻を作る下準備をせっせとしていた。特に何も考えずにただぼーっと準備をしていた私がはっと意識を取り戻したのは、この時間帯に現れるとある誰かと『その一味』をあっちこっちと探していると自分で気づいたときだった。彼女らは、蓮宮の水辺周りの社に、偶然にしろ必然にしろ色々と理由をかこつけて、この時間帯に現れるのである。
でも、私はそんな彼女達の影すら見かけなかった……。
「本日は、アリサー妃の姉君であらせられるダラライ王女が前翼宮を訪れたとお話を聞きました」すると、突然ゴイそんなことを口にした。「王女は娘君に当たるウアンファーちゃんと一緒に御来訪されたそうです」
「そうなの」私は短くゴイに返事をした。だって、何でゴイは主の方々がおわせられる前翼宮の話をしてくるのか良く分からかったから。「何で突然ゴイはその話をしたの」